幼いころ、私は家族でアパート暮らしをしていました。

父は優しいけれど不器用で、
職場の人間関係が
いつもうまくいきませんでした。

人間関係のストレスからか、
仕事から帰ると酒を飲んで、
愚痴を言いながら寝る。

休日も、朝から酒を飲んでは寝る、
という日々をおくっていました。

母は、そんな父の様子にイライラし、
口喧嘩がたえない家庭だったんですね。

父と母が言い争っていると、私は
胸がきゅーっと締め付けられる感じがして、
どうしようもなく切なくなりました。

そして、切なくなると、
無意識にバランスをとろうとするんですね。

私は我慢をする“いい子”になろうとしました。

「ぼくが親に心配をかけてはいけない」と。

気持ちに余裕のない母は
決まり文句のようにこう言っていました。

「勉強して、ちゃんとした高校に言って、
 ちゃんとした会社に就職しなさい」

家でも学校でも
「勉強しなさい!」と
言われ続ける毎日の中で
私はどんどん疑問が膨らんできました。

何のために、勉強するんだろう・・・?

ちゃんとした会社に就職しても、
父のように辛そうに働くようになるかもしれない。

未来に辛いことが待っているとわかっているのに、
そのためにがんばることができなかったんですね。

そして、私はなんとか高校には入ったものの、
“燃え尽き症候群”になりました。

高校入試がゴールになってしまって、
勉強することの意味が
わからなくなったんですね。

高校に入ると、部活もやらずに
無気力な日々を送りました。

学校が終わると、帰りに古本屋に立ち寄り、
2時間以上マンガを立ち読みしてから帰る。

勉強もしなくて、定期テストもさんざんな結果。

「なんであんたはそんなにダメなの!?」

母にそう強く言われても、
私には勉強をがんばるエネルギーも自信も
残っていませんでした。

夢も目標もないことへの焦りだけがありました。

時を経て、
社会人になると、私に転機が訪れます。

東京の人気寿司店で働いていた私は、
仕事で『英会話』が必要になる場面があったんですね。

外国の方がたくさん訪れる寿司店でしたから。

私は、小さな勇気をふりしぼって、
駅前の英会話スクールに通いはじめました。

そして、実際に通いはじめると、

学校で「やれ!」と言われた勉強は
まったくやる気が起きなかったのに、

自分で「やろう!」と決めた『英会話』の勉強は、
やる気があふれてきたんですね。

私のつたない英語でも、
外国人の先生と英語を使って話せるだけで
世界が広がった感じがしました。

ものすごくワクワクしました。

英会話の先生は、
私の英語を一生懸命に聴いてくれて、

少し会話ができただけでも
満面の笑顔でほめてくれました。

私の中で、自信がみなぎっていくのを感じました。

勤めていた寿司店でも
外国のお客さんと楽しく話せるようになり、
ますます英語の勉強が好きになっていったんです。

英会話スクールで、すてきな先生たちに
出会えて良かった、、、

自分で決めたことを勉強するのって、
こんなに楽しいんだ、、、

はじめてそう感じました。

いまの私だったら、
こどもたちに楽しく勉強することを
伝えられるかもしれない。

勉強することの“意味”を教えられるかもしれない。

そう思うと、目の前がパッと開ける感じがしました。

「子どもたちといっしょに勉強したい!」

その想いはどんどん膨らんでいきました。

寿司店の仕事内容自体には、
それほど情熱を感じられなかった私は
仕事を辞め、故郷新潟の小さな学習塾への転職を決めました。

個別指導の学習塾で、

生徒ひとりひとりを
じっくり見ることができました。

子どもの話をじっくり聴き、

その子の良いところを見つけ、

その子がやりたいと思った教科を
自分で“選んで”やってもらう。

学校の教科へのやる気があまりないときには、

「勉強って、なんですると思う?」

という会話を
授業中ずっとしていたこともありました。

私は、そんなふうにちょっと変わった講師でしたが、
子どもたちは私に心を寄せてくれました。

私がやりたかったことは、
まさにこの仕事かもしれない。

対話をして、勉強する意味を自分で考え、
勉強することを心から楽しめる子を育てたい!

教育の仕事に、
情熱とてごたえを感じはじめました。

そして、もっともっと
対話からこどもたちの可能性を引き出したいと思い、

コミュニケーション、
コーチングを徹底的に勉強し、

共感したものを取り入れていきました。

「白根せんせーと話すと元気でる!」

「何のために勉強するか、自分なりに考えてみました!」

「おれ、やりたいことが見つかりました!
 大学いきます!」

私は、“対話からはじめる授業”に
確信がもてるようになったんですね。

保護者の方からも信頼を寄せられ、
親御さんとの面談もするようになりました。

ある日の面談のとき、

「白根先生と話していて、
 わたしはこどもの話を
 全然聴いてこなかったことに気づかされました。

 どうしてこどもの話を聴いてあげれなかったのか・・・」

と言って、
泣き崩れるお母さんがいました。

私は、このとき、

「そうか・・・!」

と気づきました。

お母さんも、
心からこどもを愛していて、
やる気を引き出したいと思っているんだ。

でも、接し方がわからなくて、悩んでいるんだ。

本当は、学習塾に頼らなくても、

親御さんの“声かけ”で

子どもが自信をつけて、

学ぶことが好きになって、

夢を見つけていくほうがいいはずなんだ。

私の使命は「これだ!」と思いました。

親御さんに子どもへの“接し方”
”声のかけ方”を教えることが
これからの私の使命だと確信したんですね。

○ 親御さんの悩みの本質を聴き

○ 子どもへの“声かけ”をカウンセリングし

○ 子どもが自信をつけながら、“学びへの好奇心”を育む声かけをつくる

ということをやっていけば

「子どもに勉強しなさい!」と言わなくても

生き生きと
自分で夢を見つけながら
成長していくことができる。

そう思うようになり、実際に
親御さんにセッションをしていきました。

「勉強しなさい!」と
子どもをコントロールしようとしていた
親御さんの悩みの本音に共感し、

子どもにどんな大人に育ってほしいかを
ていねいにカウンセリングし、

いままでとは違う”声かけ”を
親御さんが試してみると、

驚くことが起こったんです。

「勉強なんてやりたくない!」

と言っていた子が

自分から机に向かいはじめたり、

楽しそうに勉強しはじめたり、

ということが起こりはじめたのです。

親御さんが、子どもへの“声かけ”を変えただけで、
やる気を出して、学びを楽しんでいく。

子どもが自信を取り戻して、
親子の関係もよくなっていく。

こんなに嬉しいことはありません。

そして、親御さんとセッションの中で、
子どもの自己肯定感が育つ“魔法の声かけ(言葉マジック)”
のストックがどんどん増えていきました。

私は、親も子も自己否定ではなく、
自己肯定しあえる教育をつくっていきたい!

学ぶことを心から楽しんで、
夢の実現に向かって進んでいける子
を親御さんといっしょに育てていきたい!

これが、心から伝えていきたい
私のミッションです。

この想いから
親子塾えすてぃむは立ち上がりました。