こどもから信頼される“せんせい”になったMちゃん

8年前の話です。

ひとりの高校生が
「大学を受験してみたい」
という相談をしてきました。

その子、Mちゃんは、
高校1年生のときは赤点(40点以下)
ばかりだったんですね。

高校1年の終わりに
ぼくが勉強を見はじめて、
高校2年生では、
クラスで真ん中くらいの
成績をとれるようになりました。

そのときの話です。

Mちゃんは
いまでは夢を叶えて、
小学校の先生として
活躍しています。

(以下、白根・・・白、生徒・・・K)

M:「白根先生、
  わたしでもいける大学あります?」

白:「うん、もちろん。
  大学入試は、高校の成績が
  ほとんど関係ないし。」

M:「そっかぁ、、、
  わたし、大学受けてみようかな、、、」

白:「大学、行きたくなってきたんだね。
  何か、したいことが出てきたの?」

M:「う~ん、、、漠然となんだけど、、、
  白根先生は、
  なんで塾で働こうと思ったんですか?」

白:「えっ、ぼく?
  え~とね、ぼくはね、前の仕事、
  じつは寿司屋だったんだけどね 、、、」

M:「え~っ!ホントですか?
  すごいですね!
  お寿司にぎれるんですか?」

白:「いやいや、ほとんどにぎれないよ。
  お店の運営とか、レジ締めとか、バイト管理とか
  そういう仕事をしてたんだよね。」

M:「へぇ~」

白:「そこで、新卒として、
  一生懸命働いていたんだけど、
  『なんかちがうなぁ・・・』って思いはじめて、
  そして、仕事がイヤになってきてしまって、
  挫折したんだよね。」

M:「白根先生でも、挫折するんですね(^^)」

白:「しますします(^^)
  前の仕事で挫折したとき、
  なんのために生きていくんだろう
  ってとこまで考えてね、、、  
  つまり、生きててもつまんないな、
  とすら思ったんだよね。」

M:「マジですか!
  それで、どうしたんですか?」

白:「こっち(長岡市)に帰ってきて、
  さらにいろいろ考えてね。

  どうせ死ぬなら、
  バイトでもボランティアでもいいから、
  やりたいことやってからにしよう、
  って開き直ったんだ。」

M:「そうだったんですね、、、
  それが、塾の先生だったんですか?」

白:「ううん、ぼくはじつは勉強を
  “教えたい”って思ったことはないんだ。 
  そのときは、こどもが好きで
  『こどもたちと思い切り遊びたい!』
  って強い気持ちがだけが
  湧き上がってきたんだよね。  
  だから、児童館のボランティアでも
  何でもよかった。
  そしたら、たまたま
  この塾がバイトを募集しててね。」

M:「そっかぁ、、、
  わたし、白根先生、
  いますごく活躍してるから、
  ずっとこの仕事してると思ってました、、、」

白:「嬉しいけど、活躍してるかな、、、
  Mちゃんはどう?
  やりたいことが漠然とでも
  見えてきたんだよね?」

M:「わたし、白根先生と勉強して、
  はじめて勉強が“楽しい”って思えたんです。
  だから、わたしも
  『学校の先生』とか楽しそうだな、、、って。
  こども好きだし。」

白:「そっか。
  ぼく、Mちゃん向いてると思うな。
  だって、話しやすいし、明るいし。
  いまもぼくの体験談、話しやすかったもん。」

M:「もしいまからでも間に合うなら、
  学校の先生になれる学部、受けたいです。」

白:「じゃあさ、まずいっしょに
  どんな大学があるか調べてみない?」

M:「はい!」

↑ここまで。

Mちゃんは、その後、
ものすごい勢いで勉強して、
3月の最後に
教育課程がある大学に合格しました。

そしていまでは、
小学校の先生として
活躍しているそうです(^^)

Mちゃんのお母さんから
近況をお聞きする機会があったんですね。

小学校で生徒からも
そして保護者からも
信頼される先生になっている、
とお母さんから聞いて、
本当にわがことのように
嬉しくなりました(^^)

Mちゃんは、
ぼくに相談したとき
“何か”を聞きたがっていました。

それは、進路を決めるための
アドバイスだったのかもしれません。

でも、ぼくができたのは、
結局これだけでした。

自己開示

つまり、自分の体験を
包み隠さず話すことだったんですね。

はじまりは、
ちょっとした“会話”でした。

でも、自己開示をしはじめると、
会話の空気が一気に変わります。

Mちゃんが、
ぼくの体験談から
何かを学ぼうとしているのが
わかりました。

お母さんが、
進路や勉強のことで悩んでいる
こどもに接するときにも
同じことが言えます。

こどもが相談してきたときに、
アドバイスは一切いらないんですね。

それよりも、
こどもが真剣に聞くのは、

お母さんの真剣な自己開示

つまり、お母さんの体験談です。

お母さん自身が通ってきた道。

辛かったこと。

挫折したこと。

悲しかったこと。

そして、そこからの“成長”と“決断”

こどもは、
そこに“共感”したいと思っています。

こどもが、お母さんに
勉強や進路のことで相談しにきたとき。

そのときがチャンスです。

お母さんが勇気をもって、
自己開示したとき、
こどもの人生が動きはじめます。

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